Category Archives: 映画

アリータ バトル・エンジェル

映画サイト:http://www.foxmovies-jp.com/alitabattleangel/
映画.com:https://eiga.com/movie/88451/
鑑賞場所:シネマ11(ユナイテッドシネマ札幌)4DX3D

日本の漫画コンテンツがハリウッドで

今となっては珍しくも無くなってきているが、本作の雰囲気や話の流れにおいてはほぼ完ぺき、ともいえるのではないだろうか。

漫画家木城ゆきとが描くSF漫画「銃夢」が原作(正確にはOVA版を下敷きにしている)となる本作。原作は昔から知っていたのだけど、作者はかなりのデリケートな方と色々「黒い噂」があって、冒頭以外はあえて避けていた経緯がある。噂はおそらくは本人のストイックさから来たもののようで、今となっては良く分かる部分も。「本気」でなければ「いい作品」は生まれない。
今回は会員カードの更新ついでに4DX3Dで見てきた。

舞台となっているクズ鉄街はかなりストイックで雑多な雰囲気があったが、そのまま本作でも忠実に再現されていたように見えた。サイボーグ化された各部の表現も含め、アリータ自身もあえて目を大きく表現され、ほとんとがCGによる魔法処理が行われているようだ。
4DXでは、モーターボール等でのバトルシーンでの激しい揺れだけではなく、カメラワークに合わせて「挙動」を再現している。だいぶ手馴れてきた気がする。
中々面白かった。

あした世界が終わるとしても

映画サイト:https://ashitasekaiga.jp/
映画.com:https://eiga.com/movie/88442/
鑑賞場所:札幌シネマフロンティア

別な世界がリンクしていたら

博報堂グループの映像企画・制作企業クラフターが手掛けたオリジナルフルCGアニメ映画。
今の世界と別の世界が人知れずリンクしていた日本で謎の突然死が多発していた中、主人公のシンもまた幼い頃に母を亡くして以来、心を閉ざしていた。幼なじみのコトリと紆余曲折の末、ようやく一歩を踏み出そうとした2人だったが、突然もうひとりの「シン」が現れ、物語は動き出す。。。
2つの世界に同じ人物が存在し、一方が死ぬともう一方は突然死という形で現れる・・・という、ネタとしてはやや古典的な世界感だが、フルCGにしては非常にキャラクターが良くできていて、尚かつ良く動く。感情表現もいい。実在の新宿を落とし込んだ背景もかなりリアル。
いやはや、セルルック表現のレベルがすっかり高くなったなぁ。と感慨深い。
でも、造形や何やらがどこかで既視感あるなぁ・・・と思ったら「新世紀いんぱくつ。」の監督さんだった。

互いが互いを知り、コミュニケーションをとらなかった事で始まった戦争。
主人公やヒロイン後がリンクしている先は「敵方」。しかし殺せば主人公やヒロインが突然死してしまう中、どう解決していくのか・・・それなりのドキドキ感はあったが、主人公サイドだけではない裏事情の描写が抜けている(例えば、別世界がリンクしてるという発見の過程・理由など)ため、全般的に説明不足感があるし、終盤は超展開(おい)もある。
何か感動を呼ぶ要素は少ないが、それなりに面白かった。

CGWORLDでの制作特集記事に期待したい。(笑)

Fate/stay night Heaven’s Feel II. lost butterfly

映画サイト:https://www.fate-sn.com/
映画.com:https://eiga.com/movie/88009/
鑑賞場所:ディノスシネマズ札幌劇場(最速上映会参加)

桜が黒くなる物語

ゲーム「Fate stay/night」の最終ルートにあたる「桜ルート」の第2章。
第1章ラストで頼みのサーヴァントであったセイバーが黒く(セイバーオルタ化)なり、第2章では間桐桜の隠された事情と真の姿が描かれる。
映像としてどのシーンもかなり気合が入っており、特に背景の細かさ(冒頭の地蔵や街並みなど)には相変わらず無駄なほどに綺麗で、今回作中(たぶん)初めて性的行為も描かれていた。モロ出しではないが、この後の桜に起こる結果が分かっているだけに、改めて切なく容赦のない映画だと感じた。
忘れ去られているかもしれないが、元々が18禁ゲームであり、サーヴァントの維持や絆の構築のために性行為をするという設定の名残が今回初めて演出上活かされたように見えた。
中盤のセイバーオルタとバーサーカーとのバトルあたりから激しく悍ましい展開が続くため、見終わった後はもやもや感が残るし、イリアスフィールの笑顔だけが心の支えになるとは思わなかった。シリーズものの中盤ゆえに中弛みしがちな映画が多いが、弛みはしないまでも赤が激しすぎて非常に疲れるかもしれない。セイバーオルタのチートすぎる攻撃は見どころでもあり、いろいろな意味で複雑な感情を持ってしまった。

最終作は来年春とのこと。花のような明るい背景だったことから、もしかすると例の「ラストエピソード」が描かれる可能性もありそうだ。

ラブライブ!サンシャイン!! The School Idol Movie Over the Rainbow

映画サイト:http://www.lovelive-anime.jp/uranohoshi/sp_movie_theater.php
映画.com:https://eiga.com/movie/88450/
鑑賞場所:札幌シネマフロンティア

テレビ版の続編

前作「ラブライブ」と同様のテレビ版の新作続編。
前作「ラブライブ」劇場版は優勝記念旅行(行先はアメリカ)から始まるが、「解散」するという最後は決まっていたので、フィナーレを向かうための本筋のストーリーラインが薄く、PV部分以外は非常に感想を書きづらい映画だった。今作も正直あまり期待していなかったのだが、閉校を機にメンバーが6人になってしまったが、卒業生3人を巻き込んで「チームAques」の「ゼロからの再構築」を目指した葛藤を本筋に描かれていて、不満だったストーリーラインが十分際立った映画らしい映画になっていた。1カメじゃ無理だろうというやりすぎ感のあるPVや、顔の形や目のカタチが同じなので初見ではキャラ判別が困難、せりふ回しがウザ気味なのは相変わらずではあるが。

個人的にも、何度も仕事が変わり、研修から受けなおす実質ゼロスタートに逆戻りすることが多かったが、今までの体験や経験を踏まえれば「決してゼロではない」というセリフに、思わず熱くなってしまった。自分のような挫折の繰り返しが続く各々には、是非ともこの映画を見て勇気づけられるといいと思う。

「性別が、ない!」インターセックス漫画家のクィアな日々

映画サイト:https://seibetsu-movie.com/
映画.com:https://eiga.com/movie/89058/

この身でなければ理解されない「壁」

「性別が、ない!」というタイトルで漫画を描いているエッセイ漫画家「新井祥」と「彼」を取り巻く人々のドキュメンタリー映画である。名前だけは夏ごろに知っていた。しかし道内ではシアターキノで1回だけの特別上映とのことで数年ぶりに見に行ってきた。
今年は、某議員の暴言から始まり、良くも悪くも「LGBT」という言葉が社会に広く認知されてしまったが、実際のところ「LGBT」とは何なのか・・・そんな疑問を持たれた方にとっては良い教材・・・かもしれない作品。メッセージ性は強いが、ストーリー性は薄めで、所々に漫画のカットを使った説明やエピソードが幕間のように挿入されている。

性別が、ない!

絵柄は御覧の通り、タッチは濃いめ。

インターセックス(IS)関連でいえば、ドラマ化もされた「IS〜男でも女でもない性〜」の事が記憶にあるが、この映画はあくまで「新井祥」というIS視点からのドキュメンタリーなので、彼がどう人と接し、どのような生活しているのか、ドローンやジンバルを使用したカメラで赤裸々に映像化されている。

正直、こういった方向のドキュメンタリーはCXの「ザ・ノンフィクション」等で過去に取り上げられており、残念ながら内容的には目新しいものは無かったが、「どちら側の性も一通り経験がある」という所が個性の部分だろうか。
実際のところ「LGBT」にはISは含まれていない。よって海外では「LGBTIQ」と表記していることがある。(I:Intersexuality Q:Queer/Questioning.

染色体異常による疾患であり、性に関する機能が半端な状態で残されるため、外見だけでは判別しにくい(もしくはできない場合がある)という一種の「病気」なのだが、第二次性徴期を経て初めて気が付くという、トランスジェンダーとは違う「物理的な違和」を抱えてしまう違いがあるそうだ。だが、どのドキュメンタリーでも描かれているが「当事者」でないと、この違和は分からないし、理解に至らない・・・という事象がどうしても避けられない。
それは、リアルに「自分の身になってみる」ことが不可能だからだ。この映画の中でも葛藤をするFtM当事者の両親や相方の姿等が描かれている。

将来、VRの技術が進めば、上記の漫画のような異性を「体験してみる」ことぐらいはできるようになる可能性はあるが・・・。

途中、行きつけのバーでハッテン形の接客をした従業員の女の子に対して「不快」だと叱っていたシーンがあったが、見方を変えると「己の主義を他人に押し付け」ていないか、地が出てしまったのではないか気になったところがある。
ただ、それを否定する気にはなれない。どんな性であったとしても「人間」である。好き嫌いはあるし、自身の主義主張を通したくなることもある。ただ、場を壊すのならばポジティブな意味で場所はわきまえた方がいいだろうなぁ(例えば主戦場の漫画ネタにするとか)とは思った。作中も自身を卑下にするネタが多いので、この方は意外に「ネガティブな熱を変換して」漫画を描いている方なのかなぁと思った。
最後の埋もれて生きている当事者からの批判に対してコメントを残しているが、同意半分、余計なお世話なんだからほっとけばいいのに半分、というところである。

原動力は人それぞれだが

どんなことを熱量にして生きていくのかはさておき、どんなカタチであっても目的は「幸せになりたい」1つである。弱い自分も悪い自分も受け入れ、落とし処がわかるのならば、できるならポジティブな方向がいいと思う。闘い続けて生きることに疲れてしまっては元も子もない。
今この瞬間に己の性に迷っている方々へ、身の丈に合った生き方をこの映画から見つけることができれば、いい切っ掛けになるのではと思う。

カランコエの花

映画サイト:https://kalanchoe-no-hana.com/
映画.com:https://eiga.com/movie/89110/

今も変わらない無自覚な差別

エルプラザにて上映会が行われたので参加した。
カランコエとは、アフリカなど熱帯が原産の多肉植物で赤い花をつけるのが特徴。その花言葉は「幸福を告げる」「たくさんの小さな思い出」「あなたを守る」「おおらかな心」だそうだ。
だが、この映画を見終わった後、皮肉にしか聞こえなかった・・・。

とある高校にて、突如LGBTの学習が行われた後の教室内の波紋とカミングアウト(アウティング含む)を描いた中編映画である。
これを見終わった後、じぶんが小学生の時に、札幌から小樽に引っ越しをすると同時に校区も変わるわけだが、札幌では当時ランドセル指定だったものが小樽では指定はなく、今でいうメッセンジャーバックのようなかばんが小樽市内では主流だったために、浮いていた自分はいつしか「いじめの対象」となってしまった事を思い出した。そして、おなかの調子が悪いタイミングを狙って、トイレの大便コーナを休み時間に使うと「上から覗かれる」といういじめも受けたことがあった。時には、喧嘩沙汰になって血を流したこともあり、当時なよなよしていたキャラではあったが、サッカー少年団に入って先輩後輩や仲間の意識がなければ、不登校などに陥った可能性もあった・・・ということを思い出してしまい、気持ちが悪かった。

今でばそれらは完全にセクハラの範疇なのだが、そういった教育もせず、情報も伝えていないグループ内に、今まで知りえなかった未知のものが存在する可能性を(何らかの形で)伝えてしまうと、グループ内に疑心暗鬼が生まれ、グループに所属する人は対象を探し出そうとしたり、排除したりしようとすることが犯罪学的とか心理学的にあるようだ(時折漫画ネタにもなりますな・・・)が、その切っ掛けが「突然のLGBTの授業」だったという。良かれと思った先生方の行動が実は大きな過ちであったことが皮肉に描かれており、非常にいたたまれなかった。

昨今、LGBTブームと言われているが、正直言ってどこまで理解が得られているのか、当事者目線からでもよくわからないし、社会に直接かかわることになるのでとても不安なのである。でも、その不安は健常者には(場合によっては親や近親者であっても)わからないし、体験する手段も現状ないので理解も進まないのが、この問題をやっかいにしている現状なのだ。

でもやっぱり理解してもらって、好きな人と付き合いたい・・・という気持ちを伝えきれずに、この映画は終わる。「最もやってはいけない」方法で・・・。

映画はフィクションなのかもしれないが、おそらくたぶん、日本の教育機関の現状はこの映画のそれとあまり変わっていないのではないかと思う。先生方も上からいわれるだけで追い付いていない可能性もある。それはこの間の、国会議員の一件でも何となく見えてくる。(この国会議員の場合はLGBT以前に人権問題としてもまずいのだが・・・)

これを解決する方向に向けるには、やはり親世代や先生方に向けた当事者による出前出張や講演が必要なのだ。だが、それらができる当事者は非常に限られている・・・。

講演会感想

上映後、元札幌市男女共同参画課課長の廣川さんによる講演会が行われた。
2017年6月、全国に先駆ける形で札幌市としてパートナーシップ制度導入を進めた幹事役である。
時折その当時の事がよぎり涙声になっていたが、正直「市の幹事役がとても優しいこの方でよかった」と思った。(その顛末はNHKでもとりあげられた。こちらが参考になると思う。)
残念なことに、自分には相手がいないのだが・・・。

最近こそ。こういった場に行くことが多くなったが、現れるLGBT当事者でMtFが圧倒的に少ない。ので、じぶんが相談にいける場がなくて少し悲しいのだが、このまま傍観してもいられない・・・と改めて思う次第であった。